2018年2月3日 第2回公開講演会

 2018年2月3日13時から名古屋大学東山キャンパス・ESホールにて、第2回公開講演会「高大を接続する-高校と大学の教師の役割-」を開催しました。

 

 現在、戦後最大の教育改革とも呼ばれる「高大接続改革」が進行中です。なかでも最も注目されているのは、2020年の現行センター試験の廃止と新たな大学入学共通テスト(仮称)の開始などの大学入学者選抜改革でしょう。

 ところで高大接続システム改革会議「最終報告」(2016年3月31日)では、「教員の資質向上に向け、教員の養成・採用・研修の各段階を通じた抜本的な改革を行なうことが必要である」としています。また、中教審は、2017年12月21日に「これからの学校教育を担う教員の資質向上について~学び合い、高め合う教員育成コミュニティの構築に向けて~(答申)」を発表し、そこでは全国共通の新たな制度として、教育委員会と大学とが連携して設置する「教員育成協議会(仮称)」を設けることが示されました。また、大学では教職課程の再課程認定が来年度から始まります。

 では、今から高校と大学は、そして教員は何をどう考え、どう行動するべきなのでしょうか。このような課題のための参考として、この講演会を企画いたしました。

 開会の辞の後、教育発達科学研究科教授・本センター長の大谷 尚が「高校と大学とが対話的・協調的に実施する北米の大学入学者選抜-アドミッションオフィサーとカレッジカウンセラーの職務の調査を通じて-」と題し、2016年度に行った北米4大学のアドミッション部門への聴き取り調査と、2017年度に行った米国のアドミッションオフィサー協会のNACACの全米会議の調査を基に、米国大学の入学者選抜制度の詳細や日本の入学者選抜にとっての課題などについて講じました。

 次に、「大学との連携で行う名古屋大学教育学部附属中・高等学校の高大接続型学力形成」と題し、、前名古屋大学教育学部附属中・高等学校副校長で、現在は名古屋大学非常勤講師の山田 孝先生に「総合的な学習の時間」の先行事例として全国的に注目を集めた独自教科「総合人間科」の立ち上げについて、また附属学校の高大接続型学力形成についてお話しいただきました。

 最後に、愛知東邦大学教授・同教育学部長、名古屋大学名誉教授の今津 孝次郎先生に「教師教育にとって『大学』と『学校現場』の関係を問い直す』と題して、教師教育の動向、教職課程縮小化局面の大学の役割などについてお話しいただきました。

 この公開講演会には全国の高校・大学の教職員、教育産業関係者、附属学校保護者など100名近い参加があり、「高大接続」に対する関心の高さをうかがい知ることができました。